亜鉛・マグネシウム (ZMA)
Zinc / Magnesium / ZMA
📋 クイックサマリー
- カルシウムと同じタイミングで摂ると吸収を阻害し合う
- 過剰な亜鉛摂取は銅の欠乏や吐き気を招く
📊 エビデンスマトリクス
科学的根拠の強さと効果の大きさをまとめた表です。評価基準について詳しく見る
| 効果・目的 | エビデンスレベル | 効果量 | 研究数 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 睡眠の質向上・リラックス効果(マグネシウム) | B 中程度のエビデンス | 中 | 30 | 神経の興奮を鎮め、入眠をスムーズにし、深い睡眠をサポートする。 |
| テストステロンの正常化(亜鉛) | B 中程度のエビデンス | 小〜中 | 40 | 激しいトレーニングによる亜鉛の枯渇を防ぎ、低下したテストステロン値を正常なレベルに回復させる。 |
| 筋肥大への直接的な効果 | D 予備的エビデンス | なし | 15 | 栄養が十分足りている健康なトレーニーがZMAを摂取しても、プラセボと比較して筋肉量や筋力の有意な増加は見られない。 |
睡眠の質向上・リラックス効果(マグネシウム)
B 中程度のエビデンステストステロンの正常化(亜鉛)
B 中程度のエビデンス筋肥大への直接的な効果
D 予備的エビデンス概要
**亜鉛(Zinc)とマグネシウム(Magnesium)は、筋肉の収縮、タンパク質合成、ホルモン分泌など、体内の数百もの酵素反応に必要な必須ミネラルです。 これらにビタミンB6を組み合わせたサプリメントは「ZMA」**という名称で広く販売されており、特に「テストステロンを高める」「睡眠を深くする」としてトレーニーの間で人気があります。
激しいトレーニングにより汗や尿から大量に失われるため、アスリートやハードトレーニーは一般人よりもこれらのミネラルが不足しがちです。
作用メカニズムとエビデンス
1. 睡眠とリラックス(マグネシウム)
マグネシウムは神経系の過度な興奮を抑え、リラックスさせる作用(副交感神経の優位化)があります。また、睡眠ホルモンであるメラトニンの生成もサポートします。 ZMAを就寝前に摂取することで、「寝付きが良くなった」「朝の目覚めがスッキリする」といった体感を得る人が多いのは、科学的にも裏付けられています。睡眠の質向上は、結果的に強力な**リカバリー(疲労回復)**に繋がります。 同時に、足がつる(筋肉の痙攣)のを防ぐ働きもあります。
2. テストステロンと筋肥大(亜鉛)
非常に重要な誤解を解く必要があります。 「ZMAを飲めばテストステロンが限界突破して筋肉がモリモリ増える」わけではありません。 研究(Wilborn et al., 2004 など)により、**「食事が充実していてすでに亜鉛が足りている健康な筋トレ経験者がZMAを飲んでも、テストステロン値も筋肉量も増えない」**ことが明確に示されています。
しかし、「ハードなトレーニング等で亜鉛が枯渇(欠乏)してしまい、テストステロンが『下がってしまった』状態を、元の正常なレベルまで『戻す』」効果は確認されています。 つまり、マイナスをゼロに戻す効果(リカバリー・ホルモン維持)は優秀ですが、ゼロをプラスにする(ドーピング的な筋肥大)効果はないということです。
用量・タイミング
- 推奨用量:
- 亜鉛: 1日 15mg 〜 30mg (吸収率の高いキレート加工されたもの:ピコリン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛など)
- マグネシウム: 1日 200mg 〜 400mg (クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウムなど。※安価な「酸化マグネシウム」は吸収率が数%しかなく下剤として働くため避ける)
- ZMAサプリメントとして購入すれば、この比率(亜鉛30mg/マグネシウム450mg等)で配合されています。
- タイミング: 就寝の 30〜60分前
- マグネシウムのリラックス・睡眠導入効果を最大化するため。
安全性と注意点
- カルシウムとの競合: 亜鉛やマグネシウムは、プロテイン(牛乳由来)などのカルシウムを多く含む食品と一緒に摂取すると、腸での吸収枠を取り合ってしまい吸収率が著しく落ちます。就寝前にプロテインを飲む場合は、ZMAと最低30分〜1時間は間隔を空けてください。
- 亜鉛の過剰摂取による吐き気: 空腹時に高用量(30mg〜)の亜鉛を一気に飲むと、強い吐き気(亜鉛酔い)を感じる人がいます。その場合は用量を減らすか、少量の軽食と一緒に摂るか、亜鉛とマグネシウムを分けて日中に食事と摂るようにしてください。
- 銅の欠乏: 亜鉛を50mg以上の極めて高用量で長期摂取すると、体内の銅(銅も必須ミネラルです)が排出され、貧血などを招く恐れがあります。製品の目安用量を守りましょう。
よくある質問
Q: テストステロンを高めるためには、マカやトンカットアリなどのハーブ系も一緒に摂るべきですか? A: サプリメント業界ではハーブ系(テストステロンブースター)が多数売られていますが、そのほとんどが「動物実験では効果があったが、ヒトでの科学的根拠(エビデンスレベルC〜D)が乏しい」ものです。まずは確実なベースである亜鉛・マグネシウム・ビタミンDを抑えることが優先です。
Q: ZMAサプリを買うべきですか?別々に買うべきですか? A: 好みの問題です。ZMAとして完成されている商品(特許ブレンド)は便利ですが、割高なことがあります。「クエン酸マグネシウム」と「ピコリン酸亜鉛」の単体サプリをそれぞれiHerbなどで購入する方が、成分の形(吸収率)にこだわれ、かつコストパフォーマンスが良いことが多いです。
参考文献
- Wilborn, C. D., et al. (2004). “Effects of Zinc Magnesium Aspartate (ZMA) Supplementation on Training Adaptations and Markers of Anabolism and Catabolism.” Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/1550-2783-1-2-12
- Abbasi, B., et al. (2012). “The effect of magnesium supplementation on primary insomnia in elderly: A double-blind placebo-controlled clinical trial.” Journal of Research in Medical Sciences.
- Kilic, M., et al. (2006). “The effect of exhaustion exercise on thyroid hormones and testosterone levels of elite athletes receiving oral zinc.” Neuro Endocrinology Letters.