EAA / BCAA
Essential Amino Acids / Branched-Chain Amino Acids
📋 クイックサマリー
- プロテインを十分に摂取している場合、追加効果は薄い
- BCAAよりEAAが全体のバランスとして優れる
📊 エビデンスマトリクス
科学的根拠の強さと効果の大きさをまとめた表です。評価基準について詳しく見る
| 効果・目的 | エビデンスレベル | 効果量 | 研究数 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 筋肉の分解(カタボリック)抑制 | B 中程度のエビデンス | 小〜中 | 60 | 空腹時のトレーニングや長時間の耐久運動中において、筋肉の分解を防ぐ効果が示唆されている。 |
| 筋タンパク質合成(MPS)の刺激 | B 中程度のエビデンス | 小 | 45 | プロテイン単体と比較して優位性はないが、十分なEAA(特にロイシン)はMPSのトリガーとなる。 |
| 筋肉痛(DOMS)の軽減 | B 中程度のエビデンス | 小〜中 | 30 | トレーニング前後のBCAA摂取が遅発性筋肉痛をわずかに軽減する可能性がある。 |
筋肉の分解(カタボリック)抑制
B 中程度のエビデンス筋タンパク質合成(MPS)の刺激
B 中程度のエビデンス筋肉痛(DOMS)の軽減
B 中程度のエビデンス概要
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できず食事から摂取する必要がある9種類を**必須アミノ酸(EAA: Essential Amino Acids)と呼びます。 その9種類の中でも、筋肉の代謝に特に深く関わる3種類(ロイシン、イソロイシン、バリン)を分岐鎖アミノ酸(BCAA: Branched-Chain Amino Acids)**と呼びます。
これらは既に分解された「アミノ酸」の状態であるため、プロテイン(約1〜2時間)よりも非常に早く(約15〜30分)吸収されるのが最大の特徴です。
作用メカニズム
BCAA(特にロイシン)は、筋肉の合成を指示する「mTORシグナルパスウェイ」のスイッチを入れる鍵として働きます。 しかし、家を建てるための「大工(ロイシン=BCAA)」を呼んできても、「建材(他の必須アミノ酸)」が揃っていなければ家(筋肉)は建ちません。 そのため、近年ではBCAAだけを摂取するよりも、9種類すべてが含まれたEAAを摂取する方が、筋タンパク質合成(MPS)には有効であるという見解が主流になっています。
エビデンスの詳細
筋タンパク質合成(MPS)への影響
EAA摂取はMPSを強力に刺激します。しかし、十分量のプロテイン(ホエイなど)を摂取している場合、EAAやBCAAを追加してもさらなる筋肥大効果は得られないことが多くの研究で示されています(Dieter et al., 2016)。
筋肉の分解抑制と疲労感の軽減
長時間の激しい運動中や、空腹状態(カロリー制限時)でのトレーニング中は、エネルギー不足を補うために筋肉が分解されやすくなります。血中に即座にアミノ酸を供給できるBCAA/EAAの摂取は、この筋肉の分解(カタボリック)を防ぐ効果が期待されます。 また、運動中の脳内セロトニン増加を抑えることで、主観的な疲労感を軽減する働き(中枢性疲労の抑制)も示唆されています。
用量・タイミング
- 推奨用量:
- BCAA: 1回 5g〜10g(ロイシン:イソロイシン:バリン = 2:1:1 の比率が最も研究されています)
- EAA: 1回 10g〜15g
- タイミング: トレーニング前・トレーニング中(イントラワークアウトドリンクとして)
- 水に溶かして、トレーニング中の水分補給として少しずつ飲むのが最も一般的で効果的な使い方です。
安全性・副作用
アミノ酸は食品成分であり、非常に安全です。 ただし、一度に大量に(20g以上など)濃い濃度で飲むと、浸透圧性の下痢を引き起こすことがあります。十分な量の水(500ml〜1L程度)に溶かして摂取してください。
よくある質問
Q: プロテインとEAA/BCAAの違いは何ですか?どちらを買うべきですか? A: 初心者は迷わず「プロテイン」を優先してください。プロテインは20種類全てのアミノ酸を含む「完全な食事」のようなものです。EAA/BCAAは吸収スピードの速さを活かした「トレーニング中専用のドリンク」という位置づけです。予算が限られているなら、プロテインだけで十分です。
Q: BCAAとEAA、今から買うならどちらが良いですか? A: 昨今のアミノ酸研究の潮流では、「EAA」が推奨されます。BCAAは合成のスイッチは入れますが、材料としては不完全です。EAAであればスイッチと材料の両方を兼ね備えています。
Q: プレワークアウトサプリと一緒に飲んでも良いですか? A: 問題ありません。カフェインやシトルリン等と混ぜてプレ/イントラドリンクを作るトレーニーは多くいます。
参考文献
- Wolfe, R. R. (2017). “Branched-chain amino acids and muscle protein synthesis in humans: myth or reality?” Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-017-0184-9
- Dieter, B. P., et al. (2016). “The data do not seem to support a benefit to BCAA supplementation during periods of caloric restriction.” Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-016-0128-9
- Jäger, R., et al. (2017). “International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise.” Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-017-0177-8