カフェイン
Caffeine
📋 クイックサマリー
- 耐性がつくため、重要な時以外はカフェイン断ち(サイクル)が必要
- 夕方以降の摂取は睡眠の質を著しく低下させる
📊 エビデンスマトリクス
科学的根拠の強さと効果の大きさをまとめた表です。評価基準について詳しく見る
| 効果・目的 | エビデンスレベル | 効果量 | 研究数 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 持久的パフォーマンスの向上 | A 強いエビデンス | 大 | 150 | 有酸素運動や長時間のスポーツにおいて、疲労感を遅らせ、タイムや仕事量を有意に改善する。 |
| 最大筋力・パワー出力の向上 | A 強いエビデンス | 中 | 80 | 瞬発的なパワー発揮(1RM等)やスプリント能力を向上させる。 |
| 脂肪燃焼の促進(代謝の亢進) | B 中程度のエビデンス | 小〜中 | 50 | 安静時代謝を高め、運動中の脂肪酸化(脂肪をエネルギーとして使う割合)を増加させる。 |
持久的パフォーマンスの向上
A 強いエビデンス最大筋力・パワー出力の向上
A 強いエビデンス脂肪燃焼の促進(代謝の亢進)
B 中程度のエビデンス概要
カフェインは、コーヒーやエナジードリンクに含まれる最も身近な成分ですが、スポーツ栄養学においては**「クレアチンと並ぶ、最強の合法パフォーマンス向上物質(エビデンスレベルA)」**として位置づけられています。
中枢神経系に直接作用し、主観的な疲労感(キツさ)を麻痺させ、筋肉の収縮力を高めるメカニズムを持っています。ほとんどのプレワークアウト・サプリメントの主成分です。
作用メカニズムとエビデンス
脳に疲労を伝える「アデノシン」という物質が受容体に結合するのを、カフェインが先回りしてブロックします。これにより、脳は「まだ疲れていない」と錯覚し、高い覚醒状態(集中力アップ)を維持します。 さらに、筋肉からカルシウムイオンの放出を促し、筋肉そのものの収縮力を直接的に高める作用もあります。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解(Guest et al., 2021)をはじめとする膨大なメタアナリシスにより、以下の効果が確認されています。
1. パフォーマンスの向上(効果:A)
持久力(マラソンや自転車等)、最大筋力(1RMのスクワットやベンチプレス等)、さらにはスプリントやジャンプなどの瞬発的な出力、すべての領域においてプラセボを上回るパフォーマンス向上が認められています。
2. 脂肪燃焼(代謝)の亢進(効果:B)
アドレナリンやノルアドレナリンの分泌を促し、脂肪細胞からの遊離脂肪酸の放出を加速させます(脂肪が燃えやすい状態にする)。また、基礎代謝を一時的に数パーセント引き上げる効果もあります(Collado-Mateo et al., 2020)。
用量・タイミング
- 推奨用量:
- パフォーマンス向上目的:体重1kgあたり 3mg 〜 6mg (例:体重70kgの人は 210mg 〜 420mg)。
- ※コーヒー1杯には約80〜100mgしか含まれないため、明確なパフォーマンス向上を狙う場合は錠剤(無水カフェイン)での摂取が確実です。
- 上限量: 体重1kgあたり9mgを超えるような高用量は、副作用(吐き気、動悸、過度な不安感)が増えるだけで、さらなるパフォーマンス向上には繋がりません。
- タイミング: 運動(トレーニング)の 45分 〜 60分前
- 摂取してから血中濃度がピークに達するまでに約1時間かかります。
安全性・耐性・副作用
カフェインの最大の弱点は**「耐性がつく(慣れる)」**ことです。
- カフェイン・サイクル: 毎日エナジードリンクを飲んだり、コーヒーを何杯も飲んでいると、脳のアデノシン受容体が増えてしまい、カフェインが効かなくなります。
- プレワークアウトとしての強烈な効果を維持するには、普段はカフェインレス(デカフェ)で過ごし、**「本当に気合を入れたいトレーニング(脚の日や記録更新を狙う日)だけカフェインを摂る」**という使い方が賢明です。
- 耐性がついてしまった場合は、7〜14日間カフェインを完全に断つ(ウォッシュアウト)ことで感受性がリセットされます。
- 睡眠への悪影響: カフェインの半減期(血中濃度が半分になる時間)は約4〜6時間です。夕方(16時や17時以降)にプレワークアウトを飲んでトレをすると、夜の睡眠の質が著しく低下し、結果的に筋肉の回復を妨げます。夜トレ派の人はノンカフェインのプレワークアウトを使用すべきです。
よくある質問
Q: コーヒーを飲むのと、錠剤(無水カフェイン)を飲むのではどちらが良いですか? A: カフェインの絶対量が同じであればパフォーマンス向上効果は概ね同じですが、胃への負担(胃酸分泌過多)や水分の取りすぎ(トイレが近くなる)を防ぐ意味では、錠剤の方がコントロールしやすく推奨されます。
参考文献
- Guest, N. S., et al. (2021). “International society of sports nutrition position stand: caffeine and exercise performance.” Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-020-00383-4
- Grgic, J., et al. (2018). “Wake up and smell the coffee: caffeine supplementation and exercise performance—an umbrella review of 21 published meta-analyses.” British Journal of Sports Medicine.
- Collado-Mateo, D., et al. (2020). “Effect of Acute Caffeine Intake on the Fat Oxidation Rate during Exercise: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Nutrients. DOI: 10.3390/nu12123603