アミノ酸・タンパク質 B 中程度のエビデンス

β(ベータ)アラニン

Beta-Alanine

最終更新: 参考文献: 10件

📋 クイックサマリー

ひとことで
「あと1回」の粘りを生み出す、乳酸バッファー型サプリ。
おすすめ度
推奨用量
1日 3.2〜6.4g (数回に分けて摂取)
タイミング
いつでも可(毎日継続摂取が必要)
主な効果
レップ数の増加(10回→11,12回) インターバル間の回復力向上 持久力アップ
注意点
  • 顔や手足がピリピリする「フラッシング(ベータアラニンフラッシュ)」が起こる

📊 エビデンスマトリクス

科学的根拠の強さと効果の大きさをまとめた表です。評価基準について詳しく見る

高強度・中時間(1〜4分)の持久力向上

A 強いエビデンス
効果量
研究数 40件
60秒〜240秒続く高強度の運動(例:800m走、ボート、高回数スクワット)のパフォーマンスを改善する。

筋疲労の遅延

B 中程度のエビデンス
効果量 小〜中
研究数 60件
筋肉内のカルノシン濃度を高めることで、乳酸の蓄積によるpH低下(酸性化)を緩衝し、疲労を遅らせる。

10秒未満の無酸素運動の向上

C 限定的エビデンス
効果量 無視できる〜小
研究数 20件
1RMの向上など、極めて短時間のパワー発揮に対する効果は一貫していない。

概要

β-アラニンは、プレワークアウト・サプリメントの中に非常によく配合されている成分の一つで、飲んだ後に顔や手足が「ピリピリ」する体感の正体です。 筋肉の中でヒスチジンという別のアミノ酸と結合し、「カルノシン」という物質を作り出します。

このカルノシンこそが、筋肉の疲労を遅らせる真の主役です。しかし、カルノシンをそのままサプリメントで摂取しても胃で分解されてしまうため、材料であるβ-アラニンを摂取する方法が取られます。

作用メカニズム

激しいトレーニング(例:筋肥大を狙う8〜15RMの追い込み)を行うと、筋肉内に水素イオン(H+)が蓄積して酸性に傾きます。これが筋肉を「焼け付くように痛くし(バーン感)」、力が発揮できなくなる原因です。

細胞内のカルノシンは、この増加した水素イオンを中和(バッファーリング)するスポンジのような役割を果たします。つまり、筋肉内のカルノシン濃度が高ければ高いほど、酸性になるまでの時間が稼げ、結果として「限界からもう1レップ多く挙上できる」ようになります。

エビデンスの詳細

国際スポーツ栄養学会(ISSN)の見解(Trexler et al., 2015)やメタアナリシスによると、β-アラニンが最も効果を発揮するのは「60秒〜240秒(1分〜4分)」続く高強度のスプリントやセットです。

逆に言えば、「1〜5回しか挙がらない極端な高重量トレーニング(10秒未満)」や「長時間のジョギング」に対する効果は限定的です。 ボディビル的なトレーニング(8〜15回、ドロップセット、スーパーセット、短いインターバル)には非常にマッチします。

用量・タイミング

クレアチンと同様に、毎日継続して摂取し、筋肉内のカルノシン濃度を最大化(ローディング)することで効果を発揮します。

  • 推奨用量: 1日あたり 3.2g 〜 6.4g
    • これを約4週間(28日)継続すると筋肉内のカルノシン濃度がMAXになります。
  • タイミング: クレアチンと同じく、いつ飲んでも構いません
    • プロテインや食事と一緒に摂るのが簡単です。
    • ピリピリ感(後述)が苦手な場合は、1回あたり1g前後に小分けにして、1日数回(朝・昼・トレーニング前など)摂取すると軽減されます。

安全性・副作用(ベータアラニン・フラッシング)

β-アラニンを一度に約1.6g〜2.0g以上摂取すると、約10〜15分後に顔、首、手の甲などがチクチク・ピリピリする感覚(パレステジア、フラッシング)が生じます。

  • 安全性: このピリピリ感は、皮膚の下にある神経刺激によるもので、健康上の害は全くない一時的な反応です。通常、1時間程度で自然に収まります。
  • 気にするべきか: 「これが効いている証拠だ」とテンションを上げるスイッチにするトレーニーもいれば、不快と感じる人もいます。慣れると弱まってきます。

よくある質問

Q: クレアチンと一緒に飲んでもいいですか? A: はい、非常に良い組み合わせです。クレアチンが「最初の数秒の爆発的パワー(ATP-PCr系)」を担い、β-アラニンが「その後の数十秒の粘り(解糖系)」をサポートするため、相乗効果が期待できます(Hoffman et al., 2006)。

Q: プレワークアウトに入っていますが、それだけで十分ですか? A: プレワークアウトに含まれる量(通常1〜3g)を、トレーニングする日(週3〜4日)だけ飲むのでは、筋肉内のカルノシン濃度をMAXにするには「量も頻度も足りていない」ことが多いです。本来はオフの日も単体で追加摂取することが望ましいです。

参考文献

  1. Trexler, E. T., et al. (2015). “International society of sports nutrition position stand: Beta-Alanine.” Journal of the International Society of Sports Nutrition. DOI: 10.1186/s12970-015-0090-y
  2. Hobson, R. M., et al. (2012). “Effects of β-alanine supplementation on exercise performance: a meta-analysis.” Amino Acids.
  3. Hoffman, J., et al. (2006). “Effect of creatine and beta-alanine supplementation on performance and endocrine responses in strength/power athletes.” International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism.